旅の終わり ☆日本列島快速サイクリング☆
旅101日目でござる。なんだかんだで100日天元突破してた。
新潟まで残り230km・・・1日で行けない距離じゃない。
このまま旅を終えてしまってもいいものか。
なーんて悩みも、昨日寝床に選んだ秋田の道の駅で、変な人がいたために雲散霧消してしまう。
要は眠れなんだ。
朝4時頃、空が白み始める時間帯に荷造りをする。
5時前くらいに、昨夜いびきが大きかったライダーが起きた。
ちょうどいいや、ちょっと言っておいてあげよう。
(-_-;)「昨日、ここにもう一人いたでしょ?あの人が、あなたの……いびきがうるさいって言って、そこら中をドッタンバッタン叩いて大騒ぎだったんですよ……気を付けてくださいね。何されるかわかりませんよ?」
( ^)o(^ )「えっ?そんなうるさかった?」
(-_-;)「まあ、多少は……仕方ない事とは思いますが」
気にするの、そこかよ……。
ライダーは休憩所を出て行った。
俺も少し置いて出た。
荷造りをしていたその時、リヤカーのところに変な旅人が戻ってきた。
深く息を吸い込んで次の瞬間、
「あーーー!うるさかったーーーーー!」
周囲にいる人みんなドン引きである。
嫌だなあ……
何かあると面倒だから、さっさと荷造りを終えて出発しよう。
出発のとき、リヤカーさんとすれ違うときに
「おめえも大概だろが……」
と呟いて速攻で去った。
うーーーーん、モヤモヤする……。
だって、これが日本一周を締めくくる旅の最終日だなんて、信じたくないだろ?
人の悪口や陰口は言うもんじゃないね。
行いというのは、あとで必ず自分に降りかかってくるものだから。
ぶっちゃけそんなモヤモヤはチャリ漕いでたら消える。
旅は楽しい。それが例え終わりに向かおうとしているものだとしても。
もがみん。
もがみんの艦これで思い出したけど、熊野とか、日本一周では行っていない場所がたくさんあるなあ。
そもそも、あそこら辺はディレイラ―壊れていて、輪行ですっ飛ばしたんだった。
もし、また旅をするようなことがあれば、ゆっくり時間をかけて回りたいな。
行っていない場所というので、鳥取の大栄という道の駅で気づいたことがある。
日本三周はしたという、とある中年ライダーと話していて、
そんなに色々行きたくなるものなのかなぁ、ってさ。
西日本は6000kmを40日ジャストで回ったから、ほとんど観光名所というのは回れていないんだよね。
「俺はサイクリングが趣味、だから日本全国の道を走れればいい。観光はしない。できなくてもいいんだ」って思ってた。
「全国の温泉巡りとか、観光地巡りとか。そんなものはジジイになって、余裕ができてからでいいんだ」って。
そんな気持ちで出発した。
でも、愛媛の道の駅でしゃべったおじいさんは、
「ただ見て、通り過ぎるだけじゃいけないよ」
って、俺はその忠告をちゃんとわかったつもりでいた。でもわかってなかったんだろう。
今になって思うんだけど、後で行ければいいや、なんてそれはきっと、自分に余裕が無くて、旅を楽しめないことから来る、ただの負け惜しみだったんじゃないかって思うところがある。
だから、自分のできる範囲でいいから、旅を最大限楽しもうと思ったのだった。
そんな当たり前のことに気づくために、もう半分以上日本を回ってしまっていた。
新潟までは148km。でも俺の家までは180kmくらいあるのよ。
この時点で午前9時。決めた。
今日帰ろう。俺の家に帰ろう。
帰って何するわけでもないけど、家に帰るのだ。
家ってそういうもんだ。
無条件の安心感を得られる場所、それが家だ。
あなたの家はどこですか?
鶴岡のコンビニで旅人に出会う。
30分も話はしていないと思うけど、すぐ打ち解けた。多分打ち解けられた。うーん。
世界に出てるホンマモンの旅人に会うのは、岩手で会ったDuranに続いてこれで2回目だけど、旅の最終日に会うなんて、これも何かの縁だな。
海外なんて今まで、全然興味なかったけれど、少し興味がわいたよ。
以前も書いた気がするけど、俺が知らない人とこんなに喋ることができるなんて、学生時代から俺を知ってる人からすると、ありえないことなんだ。
人と出会う喜びも学ぶことができた。
今では人と会うことに何の遠慮もない。多分無いと思う。無いんじゃないかな。ま、ちょっと覚悟はしておけ。
大分で知人の家に泊めてもらって、少し休息の時間を得て、
「ああ、人の温もりってこういうものだったんだな」って感じられた。
北海道で3人のライダーに会って、一緒に旅をして、
人と出会うことの嬉しさと、別れることの悲しさを再確認した。
日本一周を終えた(ということにしておこう)のに、ねぶたに行って、ふぉれすと氏とFukudadd氏に再会できた。
いつか会ったような人とまた会えたし、他ではできっこないような友人もできたしな。
会おうと思ったら、会えるってことをねぶたは教えてくれた。
本当に会いたいと思ってるならな。
会えない人もいるよ。
愛媛の佐田岬に行く途中で会った上尾の人は、連絡先を聞いていない。
会いたいけど、会えない。でも俺が会いたいと思ってなきゃ、いつまでも会えない。
だから会いたいと思う。
うまく行かなかったこともある。
例えば、SNSで会いたいと言ってきた人の誘いを、無下に断ってしまったことがあった(ブログには書いてない)。今思えば、会っておけばよかったなんて思うけど、いまさら遅い。
今までの工程や結果に、いつまでもうじうじ悩むのも俺が俺たるゆえんだ。
多分これは死ぬまで治らない。
でもちょっとは改善したつもりだよ。
前よりは悩むのをやめてスパッと行動できるようになった。
これからはもっと、悔いが残らないように物事を進めていきたい。
新潟入り。
俺は3回通ったけど何もイベントなかったぞ。
まあそれはそれでいいか。
誰だって、旅の先にあるものなんて見えてはいない。
最初っから見えていたとして、それは自分の都合良いように作ったハリボテだ。幻想だ。
旅を進めていって、その中で得たものを旅の先に持ち込んで、そうして作り出したものこそが、俺の旅の先にあるものだ。
旅は良いものだよ。
自分に無いものを教えてくれた。
でも、これが特別な経験だなんて思っちゃいない。
今まで通り普通の生活をしていても、それはそれで、その道を選んだなりの経験が得られるはずだ。
この数ヶ月が、とてつもなく濃密な日々だったことは否定できないが。
これで俺の旅も終わりだ。
誰しもが、最後には家に帰るために旅に出るんだ。
物事には始まりと終わりがあるものだから。
だから日本一周っていうんだろうよ。
そうだろ?
日本列島快速サイクリング
―完―
本日の記録
道の駅象潟~R7~新潟市~どっかの県道~自宅
走行距離:230km(New record!)
総走行距離:12,665km
出費:1,750円